8月 022010
 

2010年7月14日(水)から9月13日(月)まで東京 国立新美術館で「マン・レイ展 知られざる創作の秘密」が開催されています。

本展覧会では、絵画やオブジェなど、写真以外の作品も多く展示されていますが、もちろんマン・レイの代表的な写真の手法であるレイヨグラフもみられます。

レイヨグラフとは、カメラを使わず物体を感光面の上に直接置き、これに光をあてて現像、定着させます(図1)。この呼び名はマン・レイが独自につけたもので、通常はフォトグラムと呼ばれています。

図1:フォトグラム(レイヨグラフ)の作り方

①は光源、②、③は印画紙の上に置いた物体。②のように立体物を使用すると⑤の部分のように輪郭がぼやける。

マン・レイは暗室で作業中に偶然この現象を発見しました。その時の様子を自伝でこのように語っています。

ホテルの部屋の鍵、ハンカチ、鉛筆数本、刷毛、蝋燭、紐など、手当たり次第どんなものでも使ってみた。わたしは興奮して無常のよろこびを感じながら更に何枚もプリントをつくってみた。(略)翌朝、壁のうえにこの「レイヨグラフ」(そう呼ぶことに決めたので)を数枚ピンでとめて、成果を検討してみると、びっくりするほど斬新で神秘的なものに見えた。
『マン・レイ自伝 セルフ・ポートレイト』(文遊社, 2007) p177-178

「無常のよろこびを感じながら」暗室で作業するマン・レイを想像しながら鑑賞してみてはいかがでしょうか。

《無題(レイヨグラフ)》/1920年代(プリント年不詳)/ゼラチン・シルバー・プリント 2010 © Man Ray Trust