9月 132012
 

between the booksに書いた記事、カメラを使わない作品 第2回 ファウンド・フォト(2)のなかで取り上げた写真集です。

This is the photobook that I picked up in this article, Fiona Tan, Vox Populi Tokyo.

Fiona Tan collected family albums in Tokyo for this Vox Populi series. She did installation and also made this book from selected photographs.

Grandma’s home?

写真の情報はなにもありません。誰なのか、いつ撮られたのか、どこなのか?わかりません。

There is no info regarding these images. When, who, where? We can’t know.

ファウンド・フォトは想像力をかき立てます。

Found photos are very narrative.

「今ごろ同僚はゴルフだなー。けどこれはこれでいいな。」(想像です)

I haven’t been to golf since the baby was born.. but not bad at all. (just a guess)

みんな物語持ってます。

We all have our own small stories.

Tan has done the same thing in Switzerland, Australia, Norway and UK.

 Posted by at 10:41 AM
9月 122012
 

自分で写真を撮らなくても作品を作ることができるんです。カメラを使わない写真作品を紹介します。

第1回はこちら

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今回もファウンド・フォトを使った作品を紹介します。

家族写真とフリーマーケット

Fiona Tan『Vox Populi』

Fiona Tan(フィオナ・タン)はこれまでに、オーストラリア、ノルウェー、スイス、日本などで、ファウンド・フォトを用いたプロジェクトを行ってきました*1。タンはその国の一般家庭から家族アルバムを募集し、集めた写真を使って展示を行い、写真集にまとめました。見る方はそれが家族写真だというのは判断できますが、どこの誰かはわかりません。それぞれの家族がもつちいさな記憶の断片である写真を匿名で提示することで、大きなテーマとしての「家族」を表現しています。

お正月におばあちゃんの家で撮った写真でしょうか?

Fiona Tan, from the series Vox Populi Tokyo, 2007

「子どもが生まれてから週末の草野球行けてないけど、これはこれでいいなあ」(予想です)

いろいろなストーリーが浮かんできますね。

木村友紀『Flea Market Booty』

木村友紀さんのこの写真集は、「フリーマーケットでお母さんを買った」という文章が添えられています。フリマの出店者が、かごの中にお母さんを入れていたのではありません。木村さんはフリーマーケットで売っている写真の山から、お母さんらしき人が写っている写真を買い集めたんです。

どういうお母さんでしょうか?

Yuki Kimura, from the series Flea Market Booty, 2001

「子どもがようやく手を離れてこれからは旅行を楽しむわ」(予想です)

いろいろ想像できますね。

インターネット

Andrea Botto『19.06_26.08.1945』

次はこちらを見てみましょう。イタリア人のAndrea Botto(アンドレア・ボット)の作品です。

1945年夏、ボットの祖父がナチスの捕虜収容キャンプから故郷まで帰る道程をたどるというコンセプト。

祖父の残した日記をもとに関連する画像をインターネットから見つけてきました。ナウいです。

これらの作品は、自分で撮影するという作業やその楽しみはありませんが、そのかわり、写真を探したり見つけた写真を使って編集していく面白みがありそうです。主観的に撮った写真にはない効果もありますね。

続きます。

*1 2012年9月15日から30日まで、ロンドンのThe Photographers’ galleryで、イギリスの家族アルバムを集めたVox Populi, Londonシリーズの展示が行われます。
http://thephotographersgallery.org.uk/fiona-tan-vox-populi-london-2

 Posted by at 7:16 PM
8月 182012
 

写真家とアルバムジャケットのコーナー。エグルストンロバート・フランクなどを紹介してきましたが、今回はJoel Meyerowitz(ジョエル・マイロウィッツ)の写真が使われたアルバムを紹介します。

マイロウィッツは1938年ニュー・ヨーク生まれ。1960年代にアートディレクターからフリーの写真家へと転身した写真家です。ケープ・コッド*1の美しい風景を大判カメラで撮影した『Cape Light』が有名です。

マイロウィッツの写真は、コンテンポラリー・ジャズを中心とした音楽をリリースしているドイツのECMレコード*2のアルバムジャケットに使われています。

Here are the album covers by Joel Meyerowitz. German record company ECM, releases many contemporary jazz music and other genres, likes Meyerowitz’s works.

Pat Metheny Group(パット・メセニー・グループ)の『American Garage』

Weather Report(ウェザー・リポート)のメンバーでもあったチェコのベーシスト、Miroslav Vitous(ミロスラフ・ヴィトウス)1980年のアルバム『First Meeting』

Steve Kuhn / Sheila Jordan Band(スティーブ・キューン/シーラ・ジョーダン バンド)1979年のアルバム『Playground』

タイトルにピッタリな写真。

ベーシスト、Steve Swallow(スティーブ・スワロー)のリーダー作、1979年の『HOME』

タイトルそのままな写真。

ギタリストBill Connors(ビル・コナーズ)の1980年のソロ作品、『Swimming With a Hole in My Body』

 

ここに紹介した5枚中4枚が、マイロウィッツの写真集『Cape Light』の作品です。どれだか分かりましたか*3?

Photographs on four albums out of five are from his masterpiece Cape Light.

Joel Meyerowitzの代表作、『Cape Light』(1979年)

これらの音楽を聞きながら写真集をながめるのもいいですね。

Let’s listen to these music with his photobook.

 

*1アメリカ合衆国マサチューセッツ州にある岬
*2 「沈黙の次に美しい音」をモットーとするドイツのレコードレーベル。ピアニストのKeith Jarrett(キース・ジャレット)やChick Corea(チック・コリア)もECMからたくさん作品をリリースしています。
*3 Pat Metheny『American Garage』以外すべて。

 Posted by at 12:45 PM
8月 162012
 

自分で写真を撮らなくても作品を作ることができるんです。カメラを使わない写真作品を紹介します。

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私の写真

「私の写真は内的な必要性から常に生まれてきました」

これはアメリカ近代写真の父と呼ばれるAlfred Stieglitz(アルフレッド・スティーグリッツ)のことばです。スティーグリッツは自分の内面を表現するために写真を用いました。

equivalent, 1930

「equivalents(イクイヴァレンツ:等価物の意)」というシリーズ。雲が写真家の心を写している、というコンセプトです。

「私の場合、ずっと私小説になると思います。私小説こそもっとも写真に近いと思っているからです。」

これはアラーキーこと荒木経惟さんの写真集『センチメンタルな旅』の序文*1からの抜粋です。

荒木さんも、私のコトを写真に撮っています。

 

誰かの写真

これから紹介するファウンド・フォトを使った作品は「私の写真」ではなく、「誰かの写真」です。

Dick Jewell 『Found Photos』1979年

イギリス人のDick Jewell (ディック・ジュウェル)は1960年代後半から証明写真機のまわりに捨てられていた、写っている人が誰かわからない失敗証明写真を集めはじめます(荒木さんの「センチメンタルな旅」とほぼ同時期です)。ジュウェルは10年ほど収集を続け、1979年にその名も『Found Photos』というタイトルの写真集をつくりました。

Dick Jewellのサイトより

ジュウェルの作品は自分の内面どころか、自分で撮った写真でもないですね。

すでに役にたたない拾った写真を使うことで、自己表現というよりも写真そのものが持つ特性について考えさせるような作品となっています。作家としてのジュウェルもこの作品の中には見えませんね。

次回、もう少しファウンド・フォトを使った作品を見てみましょう。

*1 「前略 もう我慢できません。私が慢性ゲリバラ中耳炎だからではありません、」とはじまる、写真集に添えられた荒木さんのマニフェスト。

 Posted by at 12:43 PM
7月 202012
 

前編ではドイツ人写真家、Joachim Schmidt(ヨアヒム・シュミット)の「ストリートの写真」を紹介しました。

シリーズ「Pictures from the street」より

ストリートで「撮った」写真ではなく、「拾った」写真でしたね。

このような、撮影者や撮影時期が不明な匿名の写真をファウンド・フォトといいます。シュミットはこのファウンド・フォトを用いた作品を20年以上も作り続けているアーティストです。

シリーズ「Archive」より。

シュミットは1989年、インターネットも普及していないころですが、こんな宣言をしました。

「No new photographs until the old ones have been used up! (古い写真を使い切るまでは新しい写真はいらない!)」

世の中には写真があふれている。もう自分で撮る必要ないよ。と悟ったのでしょうか。ただ、自分で好きな場面を写真に撮って表現するのとでは伝えたいものが違いそうです。

シュミットは拾ったり集めたりするだけではなく、こんな作品も作っています。

おじさん?少女?

ビアード(口ひげ)ボーイ?

世の中の写真を使い切ろうとせっせと写真を集めていたシュミットは、写真館で古いポートレート写真を譲り受けましたが、写真のネガは流用されないようにすべて半分に切られていました。それをうまく使って半分に切られた2枚のポートレート写真を1枚にしたのがこの「Photogenetic Drafts」シリーズです。

同じ種類のちらしや広告写真をシュレッダーにかけて再構築した「Statics」というシリーズ。ちなみにこれはピザの広告写真です。

シュミットの「写真使い切る宣言」から20年以上たった今、インターネット上に何億枚*1もの写真が毎日アップロードされ続けています。

シュミットは当分カメラ必要なさそうです。

*1 facebookだけで1日に2億5千万枚の写真がアップロードされています。

 Posted by at 12:37 PM